保険比較サイトを見る前に保険会社の苦情を確認しよう
保険比較サイトでは決して比較できない最重要事項は苦情。保険会社の社員なら、まずはさておき確認するのが各社の苦情です。苦情にはその会社の実情が現れます。保険会社の品質管理部員が、どのように自社と他社の品質を比較するか。その方法をお知らせします。
目次
保険会社を評価する
保険会社の評価は、お客様の評価で決まります。お客様の評価で一番わかり易いのが、苦情の数です。
保険会社の品質管理担当者が、常にチェックを怠らないのが、苦情。ここに改善事項のすべてが集約されるからです。
ただし、苦情の数が多いからといって、問題がある、というわけではありません。保険会社によって、そのお客様の傾向が異なります。契約数が多ければ、苦情数も比例して増加します。
それではどのように見ていけばよいのでしょう。
ネット系の特徴
例えば、ネット系保険会社の場合、保険料をとにかく安くしたい、という人が集まります。事故が発生した時も、とにかくソンをしないことに敏感な人が多い、と思われます。保険会社への追及も厳しい傾向があるように感じます。
新規加入のネット割引を受けるため、保険会社を渡り歩く方もいらっしゃいます。ネット保険会社には、少しでも保険料を節約したい、という考えの方が集まります。
代理店型の特徴
代理店型の保険会社の場合、保険料が少しくらい高くても、代理店におまかせしたい、という人が集まります。ソンした、得した、ということよりも、自分の生活環境が悪くならないように、第三者の代理店に任せてまとめます。
また、代理店から加入する人は、一つの商品だけではなく、火災保険や生命保険なども、まとめて一つの代理店で加入する傾向があると思われます。代理店もそのほうが効率が良いですし、契約者も個別に対応をしなくて済み、代理店の担当者に一任できるので便利です。
分けて比較する
ネット型と代理店型は、それぞれ傾向の異なるお客様の集団となります。ネット保険会社の苦情が多いからと言って、代理店型の保険会社のほうが優れているとは言えません。
従って、保険会社を比較するときには、ネット型の保険会社と、代理店型の保険会社をまずは分けて、それぞれの中で比較することをおすすめします。
苦情でわかる品質
苦情は、大きく三種類に分けられます。
- 契約・募集に関するもの
- 契約の管理等に関するもの
- 保険金に関するもの
それぞれ集計する苦情の対象となる分野が異なります。
契約・募集に関するもの
募集行為に関する苦情、ということになります。例えば、
- しっかりとした説明が行われたか。
- 正しいプロセスで契約手続きが行われたか。
- 証券が届かない
加入時の手続きに不適切な点があれば、お客様から苦情が入る都度、この項目に集計されます。
営業方針、営業方法などに問題があれば、この項目に苦情が集中します。
契約の管理等に関するもの
契約の管理についての苦情を見ると、加入したあと、お客さんになったあと、どのような扱いを保険会社から受けるかがわかります。例えば、
- 引越したのに住所の変更手続きを進めてくれない。
- 手続きはしたのに文書が届かない。連絡もない。
- 更新手続きの案内がない。
- 電話が繋がらない
加入中に発生している苦情は、ここに集計されます。
保険金に関するもの
いざ事故が発生したときに、しっかりと支払ってくれるのか。満足できる結果となったのかが、この項目でわかります。
- 担当者から連絡がない
- 事故の時に電話がつながらなかった
- 保険金が十分に支払われなかった
このようなときに、この項目に集計されます。
注目すべきは保険金に関する苦情
三項目とも重要ですが、品質管理担当者がもっとも気を使うのが、保険金に関する苦情です。
保険金の支払いで苦情が発生することの原因の一つは、加入時の説明不足にあります。また、加入後に保険契約の内容を変更したときなど、説明が不十分なときなどにも、保険金に関する苦情が発生します。
つまり、保険金に関する苦情には、契約時や加入中の手続きの不備によって生じたものも含めて、見えていなかった苦情が最終的にこの項目に表出し、集約されます。
三項目とも重要ではありますが、特に保険金に関する苦情については、起因する原因がどこにあるのかを、よく確認する必要があります。コンプライアンス担当者、品質管理担当者は、この点について、特に注視します。
生保と損保では着目点が違う
自動車保険の場合、もっぱら問題が発生するのは、保険金の支払いに関する苦情です。
ですから、損保の特に自動車保険を中心に販売している会社と、例えば海外旅行保険を中心に販売している会社を比較しないようにすることが重要です。
主力商品の異なる保険会社の苦情数を、単純に並べて数だけを比較すると、誤った判断をすることにつながりかねません。
保険金の支払いプロセスでもっとももめるのが、事故発生時の保険金の支払い内容です。
病気やケガで病院へ通ってかかった費用の場合には、領収書や診断書があり、適切に申請を行えば、数日ですべてのプロセスが完了します。生命保険の場合には、ほとんどの場合が、このケースです。
ところが自動車事故の場合には、被害割合によって、双方の受取額が変わってくるため、紛糾しやすいのが実情です。
車両保険無しは示談でもめる
特に車両保険に入っていない場合、ほんの少しの被害割合が異なるだけで、合意に達することが難しくなります。
示談交渉付きだから車両保険はなくても良いと考えるかもしれません。しかし、自分の時間と労力と、嫌な思いで数ヶ月過ごすことを天秤にかけて、それでも車両保険なしでも良いかどうかは、よく考えたほうが良いと思います。
保険会社社員としては、弁護士に丸投げできるし、保険会社の苦情にもならないので、車両保険なしのほうがありがたいはずです。
自動車保険の苦情を確認するときは、特にこの点について、意識して分析することが大切です。
企業ホームページのチェック
改善事例を掲載しているか
各社のホームページを見てみると、各社一通りの説明を記載しています。お客様の声に関する取り組みについては、公にすることが求められているため、データの公表を各社横並びで行っていますが、そこからどのような改善が行われているかを確認することがより重要です。
苦情が発生したときに、その声を現場から吸い上げて、改善活動につなげている会社の場合、その事例をホームページに掲示しています。
もしもこの項目がなければ、その企業は、お客様の苦情を「うるさいクレーマー」の主張として処理しているだけ、ということが想像できます。
組織図のどこにあるか
外注しているか
実際のところ、保険業界以外の業界では、お客様相談センターといいながら、外注先のコールセンターの社員が電話を受けて、それをその企業の担当者に報告して終わり、ということもあるようです。
外注すること自体が悪いわけではありません。外注してもしっかりとその内容を分析し、経営陣に報告できる体制が取れていれば問題はありません。
しかし、たいていの場合、発注元の企業がめんどうな業務を外注先に押し付けるような形になります。そして、委託元と委託先の社員の上下関係から「そっちで処理してよ」という形にならないとも限りません。
組織図を見る
企業によっては、組織図の最上部にお客様を置いて、その下に取締役会を描く企業もあるくらいです。
その企業がお客様をどれほど重視しているかは、お客様の声を扱う相談センターをどのように配置しているかを見ることでわかります。
お客様の声を真に重視している企業の場合には、お客様の声を集める部署が、社長直下に組織されています。
その会社の組織図を見れば、お客様の声に対して、どれだけ真剣に向き合っているかがわかります。
保険協会の情報を確認する
保険協会はそれぞれの団体ごとに、苦情についての情報を一覧にして、掲示しています。各社ひとつずつ見ていくことも出来ますが、一度に見られる協会のページを確認する方法が一番便利です。
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