保険比較サイトの特徴

内容の比較はできない保険比較サイト

私は保険会社の法務コンプライアンス部、リスク管理部、品質管理部で、金融庁検査や業務改善命令への対応、また報告書の作成などを担当していたことがあります。その立場から、保険比較サイトとはどのようなものか、考えてみたいと思います。

ネット上で保険商品を比較して販売しているように見える保険比較サイトですがその内容をよく見れば、問題であると指摘されないように、ギリギリの微妙なラインを踏み分けて、サイトを作っていることがわかります。

サイトで検索するときには、皆さん「保険比較サイト」という言葉で検索をするので、そのまま表題にはこのことばを使っていますが、実際にその保険比較サイトをよく見れば、保険の優劣を比較しているサイトは基本的にありません。

普段意識することは少ないと思いますが、その微妙な線がどこにあるのかを、見てみましょう。

保険会社の違いを知ろう

保険会社と言っても、その種類は様々です。生命保険会社、損害保険会社、少額短期保険会社、外資系保険会社、製品の延長保証を販売する会社など。

比較サイトには様々な保険会社の商品がずらりと並んでいますが、保険会社の特徴についての説明はありません。

単純に商品を並べて比較しても、その商品を管理している会社はそれぞれ異なります。またそれぞれの会社の特徴を財務状況などを含めて正確に理解することは困難です。

金融庁が金融商品の比較広告に対して、厳しく対応するのは、金融商品を正確に比較することが難しいからです。

同じ名称で販売されている、とてもよく似た商品でも、その内容はさまざまです。そのすべてを明らかにしながら、商品を比較することができるのは、保険会社の商品開発部門の担当者だけです。それもその商品を販売するために他社の商品を研究し尽くした担当者のみにしかわからないことです。

その裏側をすべて理解した上で、その違いを事細かに説明をしていたら、おそらく消費者は、しくみが複雑過ぎて、理解できないことと思います。

専門知識のないサイト運営者が、保険に関する本を少し読んだとしても、理解して説明できるレベルの話ではありません。

そのようなサイトは、保険会社の社員が見れば、ことばの使い方ですぐに分かりますが、一般の方にはよくわからないことと思います。

比較サイトは商品別か人気順位別

比較サイトに並ぶ保険は、たいていの場合、商品別、または人気順位別に並んでいます。

商品別は商品の種類による仕分けです。仕分けて並べているだけです。

自動車保険、火災保険、傷害保険、定期保険、終身保険、がん保険など。認可上明確にその種目は決まっていますので、説明するサイトもその種目については間違えようがありません。

各社の商品の内容について、違いを説明し、比較して販売することは、出来ません。販売の現場に、その内容がわかる人も、説明できる人もいないからです。

そのため、比較サイトでは、資料請求数、申込数などの客観的な数値によって順位付けを行い、各商品プランについての保険料を並べて見せています

保険の優劣は示していない

人気順位に内容の良し悪しは関係ありません。あくまでも資料請求数や申込数などのランキングで並べているだけです。

内容を比較して、優劣を判断してはいません。

保障(補償)が充実していれば、保険料は高くなり、特約などを外していけば保険料は安くなります。

各保険会社で基本的な保険料の計算の根拠となる死亡率などの数値は、同じものを使用していたとしても、各社の経費率などが保険料の計算結果に影響してきます。その結果、最終的に各社が提示する保険料は異なってきます。

しかし、その内容の違いを細かく説明できる人は、保険会社の営業部門にはいません。当然その販売を委託されている代理店にもいません。仮にお客様に説明をしても、よく理解できないことでしょう。

従って、保険比較サイトと言いながらも、保険商品の内容の比較はしません。

もしも、出来ないことであるにもかかわらず行えば、当局の指導の対象となります。

実際にどうしているかと言えば、各商品固有のページに誘導したあとで、それぞれの商品の特徴の説明を行っています。そこでは、各商品の説明だけを行っています。

各社とも比較サイトと言いながら、商品内容の比較につながることは慎重に避けています。そのような着眼点を持って、サイトをもう一度見てみてください。

内容を比較して順位をつけていないことが見えてくると思います。

比較サイトに掲載されているランキングは、販売数や問い合わせ数であることがほとんどです。上位にあるからといって、内容が優れているということではありません。

故意の誘導とまでは言えませんが、販売数のランキングで並べて、そこから各商品の説明サイトへ飛ぶことによって、関係ない二つの情報を結びつけ、商品に優劣があるかのような「錯覚」を生み出しています。

ランキングの上にあるから良いものであると「錯覚」しないよう、注意が必要です。

商品の比較は自分で行うしかない

同じ条件でなければ、その商品が高いか安いかを判断することが出来ません。

実際のところ、全く同じ条件の商品はないので、比較しようとすれば、比較するそれぞれの商品の強みを見せ合うことになります。

その場合、どうしても自社商品の良さをアピールすることになり、弱みは見せないことになりますので、資金力のある大きな会社が、広告や広報の力を使って、ライバルを圧倒することになります。

大会社には、大会社なりの安定感があり、小さな会社にはフットワークの効く小回りの良さがあります。

最終的に判断するのは、契約者ひとりひとりになりますので、その良し悪しが判断できるだけの最低限の知識を身につける必要があると思います。

ネット型保険を支援する情報が多い

広告出稿が多いネット保険

ネット型保険の場合、ネット上での広告展開が主流となります。当然のことですが、そのお金を当てにしてアフィリエイトの記事を書く人が増えてきます。

健康、金融分野におけるアフィリエイトサイトでの不正確な情報の記載が数年前に問題となりました。

それまでは、サイト運営会社が保険契約へ誘導するサイトを運営していましたが、知識も経験もない人が適当に記事を書くこともあり、見るも無残なひどい内容の情報がネット上にあふれていました。

ずいぶんと改善はされていますが、未だに上位検索順位のところに、これはどうだろうと思われる表現で記述される記事が散見されます。

代理店契約とネット契約の違い

私はネット募集型の保険会社も代理店型の保険会社も両方経験していますので、それぞれのメリットとデメリットはわかっています。どちらが優れているということはありません。

旧来からの代理店募集型の保険会社の一番のメリットは、安心感です。全国各地に支店網があり、何かあればそこへ駆け込むことも出来ます。

代理店型の保険会社は財政的に安定した会社が多いのが特徴です。

一方で、そのためのコストが掛かり、保険料にもそのしわ寄せが来ます。

ネット募集型の保険会社は、拠点が少なく、担当者に直接相談したくても、なかなかやりにくいということがあります。

その分、保険料は安く押さえることが出来るかもしれません。

しかしながら、安く見える保険料を打ち出す傾向のある、外資系保険会社でも各社方針はさまざまです。どの会社にもそれぞれ特徴があります。

保険会社の社員から見れば、あの会社の保険には入りたくないね、と思うものがあったとしても、実際に提示する保険料を安くすることによって、販売数が伸びれば、人気があり、優れた商品であるかのように見えて売れる、ということもあります。

さすがにファイナンシャルプランナーでも、商品の内容までは理解できても、各社の実情まで知るということは難しいので、違いを知るには各自の自助努力による、としか言えません。

いずれにしても、最終的には自己責任ということになって、結果の責任は各自が負うことになります。契約を行うときには、くれぐれも内容をよく理解してから、署名押印することをおすすめします。

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