生命保険の代わりに家を買う

家もローンで買えば金融機関のもの

結婚して子供ができると、なぜか家が欲しくなります。まわりの人たちを気にする横並び意識なのか、はたまた人が生物として持つ、巣作りを意識した本能なのか。

たとえ買ったとしても、それが現金による一括払いでなければ、実質的には自分のものとは言えません。ローンが払えなくなれば、権利を失います。ローンの残債が残るうちは、正確には金融機関のものと言えます。

それでも、自分の名義の家があるということは、素直に嬉しいものです。なにか一つの大きな責任を背負ったような気分になります。一家の大黒柱と言いますが、ローンを背負うと、家族との生活を支える家を所有する、文字通りの大黒柱になったことが実感できます。

そこは子どもたちが成長し、楽しいこと、つらいこと、家族のさまざまな出来事、想い出が蓄積される舞台となっていきます。

買うと隣人とトラブルがおきても逃げにくい

ローンがあると、経済的に厳しい状況になっても、どこかへ逃げることができません。賃貸住宅なら解約して、どこか遠くの世界へ逃げていくことはできますが、ローンが残っている限り、そこにとどめ置かれることになります。

隣人とのトラブルが起きた場合も同様です。感情的な問題が発生しても、別の場所に移ることが簡単にできません。

賃貸住宅であれば、経済的な負担はあっても、別の場所へ移動して、新しい生活を始めることができます。

その不自由さから、家は買うべきではない、という意見が生まれてきます。これは生き方の問題なので、どちらが正しいとは言えません。

しかし、家を買うことには、借りることと比較して、ひとつ利点があります。それは、住宅ローンを組んだ人(例えばお父さんまたはお母さん)が亡くなった場合でも、少なくとも家族には家を残せるということです。

家を買えば万一のとき家族に残せる

有り余る財産が手元にある人に、住む家の有無は特に問題とはならないでしょう。住宅ローンを組んだ人に、万一のことが起きたときでも、手元の資金を使って、その後の人生を生きていけばよいでしょう。

しかし、それほど余裕のない生活を送っている場合は、家を買っておくと安心です。家を購入するときには、団体信用生命保険(団信)に加入します。これにより、住宅ローンを支払う義務のある世帯主に、万一のことがあっても、残債が保険で一括精算されます。

比べてみるとすぐに分かりますが、団体信用生命保険で加入する場合の死亡保障の保険料と、個別に生命保険会社の定期保険などに加入した場合の保険料は、団体信用生命保険に加入した場合のほうが、支払保険料が安く見えます。

全く同一の条件で比較することはできないので、一見安く見えても、必ず安いとは言い切れません。

団体信用生命保険の場合には、団体契約による割引があります。一方、生命保険会社の一般的な定期保険の場合には、特約を付帯する場合があり、それによって保障対象が広がり、その厚い保障の代わりに、結果的に支払保険料が多く見えることがあります。

従って、どちらが安いとははっきりと言えませんが、同程度の保障内容で表面的な保険料を比較した場合には、団体信用生命保険に加入したほうが、お得に感じることが多いと思います。

つまり、家を買って団体信用生命保険に加入する場合と、賃貸住宅に住んで、万一のときには、家を買えるだけの保険金額に設定した生命保険に加入する場合を比較すれば、家を購入して団体信用生命保険に加入したほうが、お得に感じることが多いと思われます。

子供がいると買うことに意味が出てくる

子供がいれば、家を買うことに意味が出てきます。

しかし、独身であったり、子供がなく、夫婦共働きでふたりとも同じような収入がある場合には、無理をしてまで家を買うことの意味は薄れてきます。

子供の有無にかかわらず、夫婦どちらかが不幸にして、先に亡くなったとき。夫婦二人の共同名義にしておけば、相手の所有分については住居費の負担が減ります。

一人暮らしになったときには、生活をシンプルにすることを前提とした心構えを持てば、お互いで支え合うための家、を買うことに固執する必要もありません。

家を購入しなくても、お互いを保険金受取人に指定した生命保険に入っておけば、それほど困ることもないでしょう。

年をとると借りにくくなる

借りて住み続ける場合に、困る点があります。それは、年をとると部屋が借りにくくなるという問題です。

一般的に、歳をとった人に、家主は部屋を貸すことを嫌がる傾向にあるようです。その理由は、部屋の中で万一亡くなられると、次の貸し出しのときに困るからです。

人が亡くなった場所に住むことを、たいていの人は嫌がります。もしもそれが自然死であったとしても、誰にも気づかれなければ、腐敗して匂いが残る場合もあります。

できればそのような可能性の低い、若くて元気な人に借りてほしい、そう思うのは自然なことです。

日本の人口が減っていく中で、今後状況が変わる可能性はあります。家があまり、維持するだけでも費用がかかる状況であれば、とにかく借りてほしいと思う家主も増えてくるかもしれません。

郊外・リゾート物件は格安で買える

賃貸住宅に住み続ける場合でも、最終的に住宅が買えるように、家を買える程度の貯金はしておく必要があります。

新潟県の湯沢町では、古くなったリゾートマンションが安く手に入ります。そのお値段は十万円から。しかも、その家は築三十年、四十年とは思えない新しさです。

デザインは当時のもので、時の経過を感じます。しかし、リゾート物件はほとんどが使われていません。年に数回だけ、夏冬のシーズンに使われているものがほとんどです。部屋の中を見てみるとわかりますが、たいていの物件が未使用かと思うような、清潔な状態で維持されています。

始めは湯沢地区だけでしたが、最近は他のリゾート物件でも値段が下がり安く手に入るようになりました。

軽井沢のような人気地区や、湘南などの生活圏にある人気リゾートは、相変わらず高値です。しかし、房総半島、富士山周辺、伊豆などにまで足を伸ばせば、リゾート物件がクルマ一台分の予算で購入できます。

リゾート物件でなくとも、東京郊外神奈川県千葉県、埼玉県などでは、三百万円前後で中古マンションが購入できます。ワンルームはもちろん2DKの物件でも、十分入手可能です。リゾート地まで行かなくとも、生活圏内で、十分安く部屋を確保できるようになってきました。

老朽化した住宅の問題はリゾートも都市も同じ

老朽化したマンションが、負の遺産になることを指摘した意見を、ときどき見かけます。しかし、これはリゾート物件に限ることではなく、都市でも同様のことが起きています。つまり、日本の社会に広く横たわる構造的な問題です。

リゾート物件は日常の住まいではないため、その現象がいち早く現れただけです。これから日本中で同様の問題が顕在化してきます。

古くなって使用しなくなった不動産をどうするか。相続する人がいる場合は厄介です。いらなくても引き取るしかありません。相続放棄しても責任がなくなるわけではありません。

一方、独身で兄弟がいなくて、自分ひとりという場合には、このような部屋を購入するのもよいかもしれません。最後は行政にその処分を委ねましょう。

人口が減る中で、どのように空き家を処分していくか。これからの日本の課題です。国としてどのような対応を取るべきか、早急に対応が迫られているにもかかわらず、まるで対応が進んでいません。この問題が喫緊の課題であることを、社会全体で考えるべき時期に来ています。

大事な購入のタイミング

地方都市では三百万円で買えるワンルームマンションが港区では五千万円以上します。この十五倍を超える格差の歪がこれから顕在化してくると思われます。

住宅ローンを組むとき、たいてい頭金を入れることが求められます。

住宅の価格には、業者の利益が入っていますから、販売と同時にその分その価値は下落します。

もしも購入直後に、支払いができなくなっても、その物件を売れば良い、と考えがちですが、ローンの残債以上の資金が準備できなければ、抵当権を抹消することができません。つまり売ることができません。

今後も日本の不動産価格が上昇し続けていれば、問題は顕在化しませんが、不動産価格が下落し始めて、実勢価格を下回る所有者が増えてくると、家を売っても借金が返せない人たちが顕在化してきます。

不動産は安いときに買わなければなりません。ローンで買う場合にはなおさらです。そして、物件価格がどんなに下がっても、下回ることのない程度にまでローンの残債は下げておく必要があります。

それができなければ、残された道は、破産ということになります。

破産するくらいなら、まだ郊外のマンションを現金で購入して住むという方がマシかも知れません。

何れにせよ右肩下がりの時代には、右肩上がりの時代の常識にはとらわれずに自分の頭で考えることが求められます。

家を買うか借りるか。家を借りるとは、家主のローンを代わりに支払うこと
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