生命保険と損害保険の違い



生命保険と損害保険はその対象が違う

生命保険会社と損害保険会社。それぞれ子会社で生命保険会社は損害保険会社。損害保険会社は生命保険会社を保持していた時期がありました。

最近はそれも整理されています。

全体的な流れとしては、生命保険会社が損保子会社を整理集約する方向にあるようです。その理由は、生命保険、損害保険それぞれの特徴が関係しています。

損害保険の特徴

損害保険の対象は、「急激かつ偶然、外来の事故」と定義されています。急に発生する。思いもかけずに発生する。自分自身にその要因があるわけではなく、外から生じた原因による。この3つのポイントが当てはまる事象を損害保険では対象としています。

例えば自動車事故。

事故は突然起きます。思いもかけないところから、クルマが飛び出してきた。急に、偶然にも同じタイミングで、自分の車に別の車が飛び込んできた。これが急激、偶然、外来の事故です。

傷害保険が対象とする、ケガの場合はどうでしょう。

道を歩いているときに、段差につまずいて、前のめりになって転んでしまった。急激に、気づかなかった段差に偶然ひっかかって、前に倒れ込み自分の外にある(外来)地面に顔を打ちつけた。このような事故も、損害保険の対象となります。

生命保険の特徴

一方、生命保険はその名の通り、生命に関する保険です。これは損害保険の定義の裏返しで考えるとわかりやすいと思います。

病気はゆっくりと進行します。体の外ではなく、体の中に原因があります。がん、脳卒中など、すべて内部に起因する病気です。

急激ではなく、偶然ではなく、体内を由来としたことから生じたものについて、基本的に生命保険では対象としています。

しかし、生命保険と損害保険で人の身体に発生した病気やケガを区別してしまうと、治療するときに不便な状況となります。病気であれば保険金が出るけれども、ケガだから保険金がでない、ということでは、大変不便です。

そこで、生命保険と損害保険の両方の仕組みを保険料の計算式に入れて、病気でもケガでも保険金を受け取ることができるように設計しています。その上で、生命保険会社の生命保険商品として販売しています。

生保の医療保険と損保の傷害保険の違い

例えば、損害保険会社の取り扱う傷害保険に似た、生命保険会社の医療保険があります。

病気に関する発生率などを内的要因の計算式の根拠とし、ケガの原因となる事故に関する発生率などを、外的要因の計算式の根拠とします。そしてそれぞれの要素を一つにまとめて出来た保険が、生命保険会社の取り扱う医療保険です。

一方、損害保険会社の取り扱う傷害保険は、医療保険では対象となる、病気を原因とする医療を保険金の支払い対象外としています。

生命保険会社の販売する医療保険と損害保険会社の販売する傷害保険は、とても良く似た商品です。この違いをよく認識しておかないと、いざというときに、保険金が支払われない、ということになりかねません。

医療保険に入っている、という人の証券を見せてもらうと、入っていたのは傷害保険で、ケガは対象だったが、病気は対象外だった、ということはよくある話です。

また、医療保険だけでなく、死亡時の保障を対象とする定期保険、終身保険もその内容の確認が重要です。

損害保険会社で販売している傷害保険の死亡保険金の場合、病気による死亡は保険金の支払いの対象とはなりません。従って、この点についても同様の確認が必要です。

お手元に保険証券があれば、生命保険会社の医療保険、終身保険、定期保険なのか、損害保険会社の傷害保険なのか。ぜひ慎重に確認してみてください。