エルメス 彼女と
エルメスのイベントに参加しました。国立新美術館で、映画のエキストラになった気分を味わうもの。
会場は美術館ですが、よく考えてもみれば、同じことは、どこでもできます。ただ、国立新美術館で開催することで、無意識のうちに芸術的であるかのような錯覚に陥る効果があります。ブランドの展開するそのイメージを等身大に疑似体験させるというものだと思いますが、暑い中地下鉄に乗り、会場に集まり、目の前でモデルさんたちが動いてくれるので、参加者には強く印象に残ったことと思います。
ブランドの価値とはいったいどのようなものなのでしょう。私たちが求めるものは、機能的な必要性だけではありません。それ以上に、他から抜きん出たものに惹かれ、憧れます。そして、周りからそのように判断されるものを持つことによって、自らをそのブランドに一体化したような気分に浸ります。
ある人は多くの人が羨む高額なブランドを身につけます。そのブランドの持つイメージを自分自身と重ねることで、そのブランドを消費します。
機能的にはユニクロの方が優っているかもしれないとしても、ユニクロにまつわる安価で大量生産された、誰にでも簡単に手に入るものを持つ人である、というイメージと自身が重なることを恐れます。その他大勢に埋没することの心地よさと、居心地の悪さは表裏一体です。
完全なる孤独を求めると、その人は芸術家となります。そこまでは求めない、少し人と違い、またそれは人から賞賛される方向でなくてはならない。少し斜め上が、心地よさを生むのです。
普段考えないことを考えることが出来た、という意味で、美術館を会場にしたことの意味があったと思いました。
https://hermesavecelle.maisonhermes.jp/