別荘生活と海外移住ロングステイは似ている
目次
マレーシアでのロングステイは?
ロングステイ先としてマレーシアはどうかと考えて、十日間でクアラルンプールとペナン島、マラッカを見てきました。
特に日本の寒い時期に、温かい南国で過ごすことが出来ると良いのではないかと考えたのですが、熱帯地方まで行くと、温かいを通り過ぎて、暑すぎることがわかりました。
マレーシアが人気の移住先となった理由の一つが日本との経済格差ですが、いまやそれほど大きなものではなく、日本がこのまま沈み続けて、もう十年もたてば、貨幣感覚のレベルでは、横並びになるように思いました。
実際のところ、日本の社会インフラはアジア諸国の中では抜きん出ており、これを越える可能性があるとすれば、シンガポールくらいですが、あの暑さと国土の狭さを考えれば、最低限の生活の豊かさについては、まだまだ日本にアドバンテージがあります。
シンガポールは日本を既に超えた
しかし、経済的な指標のみで考えると、シンガポールの場合、すでに多国籍企業のアジアの拠点となっており、実際に私がこれまで勤めてきた、多国籍企業のすべてが、シンガポールに拠点をおいており、日本国内のことについても、シンガポールにいる担当者や上司にお伺いをたて、指示、報告される、という関係がすでに出来上がっています。
収入についても、すでに日本を抜いたというデータもあるようなので、日本人の実感を別とした、経済的な指標のみで考えれば、日本はすでにシンガポールに抜き去られていると思います。
そこが好きかが最も重要
経済的な格差が失われつつあり、かつ、もうすぐその差も逆転しようかということになれば、経済格差を理由にした海外移住や、ロングステイを実施する意味はなくなります。
それでも、そのような生活をしたいとすれば、経済的な格差により生じる経済的なメリットを享受すること以前に、そもそもその国や地域の文化などに魅力を感じているか、ということが重要になります。
毎日の営みは、そこに住む人の興味や関心によるので、東京に居ても、KLに居ても、大阪に居ても、台北に居ても、同じ人であれば、何ら変わることはないと思います。
旅とロングステイは異なる
別荘を買って同じ場所へ何度も行くのであれば、その費用で知らないところへ旅行へでかけたほうが良い、という意見をときどき耳にします。
これは長期間の旅行をしたことのある人であれば誰でも感じることですが、観光旅行をしている限り、その活動範囲は限定的で、主な観光地を一通りまわり、博物館や美術館をすべて見てしまえば、あとはその街で特にすることもなくなります。
しかしながら、実際にその街の良さが見えてくるのは、することの無くなった期間を過ぎてからで、これは別荘生活の良さを知る過程ともよく似ています。
パリ
私が大学生の夏休みには、父のパリへの出張を八月に入れてもらい、滞在するサントノーレの四つ星のホテルに潜り込んで、ひと月近い滞在を繰り返していました。
大都会のパリといえども、二週間もすれば行くところはなくなり、公園のベンチでぼーっと過ごすことがほとんどでした。
しかし、このような時間こそが、その街を気に入るかどうかのテストケースとも言えるもので、そのような時間を過ごし、その時間が退屈であったとしても、私がパリでの夏休みを嫌いになる事はありませんでした。それどころかすっかり気に入ってしまい、バカンスでスカスカにすいたパリを、卒業まで毎年訪れました。
ウィーン
ウィーンもひと月ほどを過ごしましたが、パリほどの規模の街でもなく、そのときは学校へ通っていたので、それほど暇だったわけではありませんでしたが、そのゆったりとした時間の流れは、自分の中の体内時計とうまくあっていたような気がしています。
ロンドン
ロンドンには三ヶ月ほどいましたが、東京にいるのと変わらないな、というのがその時の感想でした。ロンドンでは、パリのような気分にはなれませんでした。
香港
一方、香港もこれまで二十回以上滞在していますが、アジア特有の混沌と激しさがあり、刺激的な街ではありますが、そこでのんびり過ごしたいと思える街ではありませんでした。
東南アジアの街は、その多くが発展途上にあることからくる、激しさと上昇志向がミックスされたダイナミックな時間の流れを感じることが出来る空間ですが、いままでのところ、ここにずっといたいと思える土地には出会えていません。
その街との肌合い
クアラルンプールにいることが、心地よいと感じるのであれば、そこにロングステイすることに意味はありますが、経済的な格差を使用して、そのギャップを享受することだけが目的であるのであれば、あまり長続きしないように思いました。
ただ、この肌合いについては、ある程度滞在してみないとわからないものです。
日本で別荘のある越後湯沢の良さは、四季折々に通うことによって、感じるようになりました。
ロングステイをする街も、別荘生活を選ぶ過程と同じで、長く通ってみないとなかなかその良さはわからないものなのかもしれません。