東海道五十三次18日間ひとり歩き Day12 吉田(豊橋)ー御油ー赤坂ー藤川ー岡崎 35k
東海道五十三次 十二日目
吉田(豊橋)ー御油ー赤坂ー藤川ー岡崎
歩行距離 三十五キロ
一日の歩数 五万五十三歩
目次
雨の豊橋(吉田)
豊橋を八時前に出る。今日は台風が近づいているので天気が悪い。これから明日にかけて、天気が良くなることはない。出来るだけ前に進んでおきたい。
岡崎まで三十キロくらい。少し小雨が降っている。太陽が出ていないときは、暑いので帽子はかぶらない。代わりにカサをさす。
豊橋市から豊川市に入る。歩道が狭い。というよりも、歩道がない。ドブ板の上を歩く。時々穴に足が挟まって転びそうになる。国道一号線と並行して走っているので、人は一号線を歩けということか。でも旧東海道沿いに住んでいる人はどうするのか。ドブ板の上を歩くしかない。または、出かけるときは、車で?。だから人が歩いていないのか。
歩道がない愛知県の東海道
前方に川が見えてきた。近づくと橋に歩道が無い。これは、天竜川以来二回目だ。天竜川はすぐに並行するバイパスの歩道に渡れたが、ここの橋と国道からは少し離れている。川幅よりも国道までの方が遠い。
怖いけれど、そのまま渡ることにした。車道を歩くのだから、余裕は無い。車が避けなければ、自分が川に飛び込むしか無い。歩き始めて後悔した。でも引き返せない。向かって来る車が次々とセンターラインよりに避けていく。両方から鉢合わせになると、一度双方向の車が止まる。すると、後ろから車が来ていたことがわかる。大型トラックが迫ると恐怖だ。音も大きい。しかし、幸い煽るような人はいなかった。みな、回避して通ってくれた。
川を渡っても、まだ歩道なしは続いた。なだらかな坂道が先の交差点まで三百メートルくらい続く。随分と長く感じる。まだ着かない。まだ着かない。先の交差点の信号が五回変わってようやく歩道が現れた。歩道に飛び込む。脇を車がすり抜ける。侮れない。豊川市。
愛知県は交通死亡事故が全国でも多い県だったと思うが、原因の一つは道路の作り方だと思う。国道一号線は高速道路と変わらず、裏道は歩道が無い。生活道路でガードレールのあるところなどほとんど見ない。一般道を時速百キロで走り、それから裏道に入ると急に穏やかな運転になる、ということは有り得ない。
歩行者軽視の愛知県
また、静岡に入ったあたりから、横断歩道が減り、歩道橋やトンネルが増えてきた。交差点なのに、歩行者用信号が無いのだ。いちいち歩道橋やトンネルを上り下りするのは辛い。歩行者を軽視している。渋谷のスクランブル交差点から横断歩道をなくすようなことをして良いわけがない。
お年寄りは外を歩けない。歩けない老人が増えると、医療費が高く付くのでは無いか。外を歩こうにも怖くて歩けない。散歩する所がない。せっかく東海道が目の前にあるのに、ちょっと豊橋まで歩いてみようか、なんて怖くて出来ない。国道一号線は、トラックの風圧が強くて、こちらもお年寄りは怖いと感じるだろう。
同じ日本でこうも生活が違う、ということは新鮮な驚きだ。日本中でラジオ体操をして散歩をして、駅まで歩いて仕事に行くわけではないのだ。そんな生活は東京近県の極小さな世界での出来事だ。
東京では、大勢の老人が、朝になると、さっさと早歩きで散歩をしているが、少なくとも静岡県から愛知県にかけて、そのような人は見かけない。六時半に公園に集まってラジオ体操をしている人も見ない。
おそらく、サラリーマンが多い神奈川県までは同じ文化圏だ。静岡にもまだ散歩する人はいた。大井川あたりが分岐になるのか。中山峠は、文化的な分水嶺なのかもしれない。
愛知県を歩いていると、人と会わないので、車がモビルスーツをきた、人のようにも思えて来る。冗談でもなんでもなく、本当に人が歩いていないのだ。豊橋の駅周辺にはいた。しかし、駅を過ぎて五分もすると、もう歩いている人がいない。朝八時台なのに。今日は三十キロ歩く間に、八人歩いている人を見た。
愛知県の東海道は歩きにくい
愛知県内の東海道は、点で管理するものらしい。御油、赤坂、藤川と岡崎に近づくにつれて、入り口と出口の標識は立派になる。資料館もあるらしい。車やバスでさっときて、さっとみて、車やバスで次へ移動する。そんな感覚なのだろう。歩道もなければ、ベンチもない。車やバスなら車中で休むことができる。
名古屋に近づくにつれて、少しずつ東海道への地元の愛着を感じなくなる。地元の人たちが誇りに感じていることをあまり感じない。本当に残念だ。東海道は潮見坂まで。いまは、そんな印象さえ持っている。
明日は熱田神宮まで。愛知県は明日でおしまい。三重県に期待したい。
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