産業革新投資機構の取締役は投資家ではない。天下り先を確保しその報酬を一億に増やしたい官僚の気持ちが見えてくる。

報酬ではなくその目的が問題

産業革新投資機構の取締役の報酬が問題となっています。

高額である点にフォーカスされていますが、本質的な問題点はそこにはないように思います。

官と民の違いは、官は税金で集めたお金を使うだけ。民間はお金を集めて、そのお金を動かす仕組みを作り増やす。

お金を集めるところが一番難しいから、その難しいお金集めのところを官が支えましょう。聞こえは良いけれど、ただ国が集めたお金をどこかで使うだけの話。

それを投資ということばですり替えている。

失敗しても、取締役個人の資産が差し押さえとなるわけでもない。

民間事業者は、自宅を担保に入れてお金を借りて事業をしているのに、徴税権で集めた国のお金をどこかの組織に投資する。公益法人の設立とやっていることは何も変わらない。

官僚は報酬上限を引き上げたかったのではないか

経済産業省にしてみれば、公益法人なら何でも良かったはず。

だから、高額報酬が話題になって、問題になるのは避けたかった。

目立たない程度に高額報酬の前例を作り、他の公益法人に天下りするOBのための理事長の給与を、同レベルの億単位に引き上げたかった。

ただ、これからの日本に必要な組織だという建前がないと、財務省からお金を引っ張ってこれず、組織は作れない。

だから今日本に必要な官民で協力する投資ファンドを作った。財務省にとっても経済産業省にとっても都合が良い。

財団法人を作って、そこへ税金を投入する。関係省庁の人、その周辺の人達。さらにその人達にコネのある人達へ、就職先を作ってあげる。それだけのお話のような気がします。

税金で雇用を増やすという、資本主義のはずなのに、社会主義のようなことを進めている不思議の国の日本。その象徴的な組織がこの産業革新投資機構。

共産党の国なのにもっとも資本主義が機能している中国とは、まったくもって間逆な日本の社会主義の実情。

官僚OBの投資家に頼べばよいのに

経済産業省出身で村上ファンドで名を馳せた、村上世彰さんのような方が社長をするならまだわかります。投資家ですから。

しかし、銀行員や大学教授や官僚を集めても、投資ファンドがうまくいくわけがない。

ソフトバンクの孫さんやHISの澤田さんのような経営者に任せれば、おそらくうまくいくのでしょう。しかし、国の息のかかったファンドなんて、足かせだらけでやってられない。忙しいし。

情報商材を売る人と同じ商売

処世術で組織の中を泳いできた人たちが取締役をして、うまくいくとしたら、それは偶然。もしも本当に能力があるのであれば、独立して自分でファンドを立ち上げているはずです。

処世術が抜群だから、税金を使うだけという、誰にでもできる、責任も取る必要のない、年収一億円の仕事が舞い込んでくるのでしょう。

それは一つの才能で、それによってここまで泳ぎついたのだから、それはそれで素晴らしい能力の持ち主のみなさんだとは思います。

しかし、投資ファンドの経営者には向いていないと思う。

公益法人で働いていたのでよく分かるのです。

こうした人が本当に多いのです。組織を食い物にする人が。


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