スティーブン・キングの「小説作法」で事故の体験が蘇る
目次
文章の書き方だけではない
スティーブン・キングの「小説作法」を久しぶりに読み返しました。
そこには、小説の書き方のみならず、文章の書き方についてのヒントがまとめられています。
書棚で目に止まり、復習のような感じで、斜め読みしていたのですが、最後のところで、つい引き込まれて、読み込んでしまいました。
大事故の体験
スティーブン・キングは、1999年に自動車事故で瀕死の重傷を負います。
作家だけあり、その間の出来事についての描写は生々しく、文字を追っていると、体の中にその時の体感が伝わってきます。
私は同じように事故で命を失いかけたことがあるので、余計にその間の状況に引き込まれたのかもしれません。
体がグシャグシャになっている時、どことなく本人は他人事のように、遠のいた意識の中、見ているものです。
意識が途絶え、ときどき回復し、その束の間、言葉のやり取りが、救急隊や医師との間でやりとりされます。
ところどころ、家族と話していた場面や会話を憶えてはいるものの、断片的な記憶がツギハギとつながり、意識は宙を漂っているようです。
死の淵
それまでの日常が、思いがけずも突然遮断され、死の瀬戸際にまで押し流されていく感覚。
ぎりぎりのところで押し戻される感覚。
文字を目で追いながら、体の隅々にそのときの感覚が蘇ってきます。
不思議なことですが、このような感覚というのは、映像よりも、体験をした人の紡ぎ出す言葉のほうが、より実感を持って伝播するものです。
回復の過程
事故の後、想像以上に長く続く回復期間。
そして、また歩き始めるまでのリハビリ。
肉体的な回復だけではなく、精神的な回復にも時間がかかります。
二十数年前の出来事ですが、久しぶりに実感を持って思い出しました。
死の瀬戸際から舞い戻るという経験は、なかなか出来ないことですが、こうして何かの拍子に思い出すと、偶然がつないでくれた続きの人生を、しみじみありがたいと思うものです。
97%は文章の書き方、作家に至った経緯などが書かれています。
文章を書く機会が多い方におすすめします。
↓私の持っているものと表紙は違うけれど内容は多分同じ
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