アマゾンプライムリーディングで古典を読む
アマゾンプライムの会員になっている。会費は年間三千九百円。月三百円程だが、思いもかけないサービスが色々とついてくる。当初の目的は、購入商品の無料搬送だが、いまではそんなことよりも、むしろエンターテイメントを楽しむことで元が取れているように思う。
例えば、プライムビデオ。ビデオ屋さんに行く事がなくなった。よほど特殊な映画でもない限り、見たいものが見つかる。年会費だけで見ることができる。
それから、プライムミュージック。アマゾンに限らず、スポティファイなどのサービスも含めて考えれば、CDを棚から出してきて音楽を聴く、という行為自体が、遠い昔のかすかな記憶の先にある。我が家では思い切って、本当に大切な保管したいCDを除いて、全てブックオフに引き取ってもらった。
何より重宝しているのがプライムリーディング。電子書籍の販売だが、アマゾンプライムの会員はプライム会員専用のページから無料ダウンロードできる。似た仕組みでアンリミテッドという、月々九百八十円で読み放題というサービスもあるが、こちらに比べると対象となる本は少々少ない。しかし、すべてを読みつくそうと思えば、それは無理なほどの書籍が並んでいる。
塵も積もれば山となることを象徴しているのが本だ。一冊一センチほどの幅しかない文庫本でも、知らないうちに、いくつもの棚を埋め尽くすことになる。しかし、電子書籍なら、場所の問題を気にすることもない。好きなだけサーバーの中に保存ができる。ただ、ダウンロードできる端末の数には限りがあり、手持ちのデバイスの数をよく考えないで落としていくと、上限をオーバーして読みたいときに読めなくなる。
プライムリーディングに並ぶ書籍のジャンルは準新刊から古典まで様々だ。そんなわけで、最近古典にはまっている。なんとなく書籍名は知っていても、昔の本なんて内容も古臭いと考えがちだが、そうでもない。どちらかと言えば新刊本ばかりに手を出してきたが、プライムリーディングのおかげで、古典を読んでみようと考えるようになった。
プラトンはソクラテスの弟子だが、ソクラテスの裁判を、傍聴していたプラトンが裁判の様子を再現する、といった手法で記述されている。
高校の倫理社会の授業でも最初に扱われる内容なので、話の経緯は知っている。しかし、改めてプラトンが書いたとされるストーリーを追っていくと、現代と当時との意識の違いがはっきりとわかる。そして、その違いを超えて、普遍的に読みつがれてきたわけも見えてくる。
先日は、サンテグジュペリの人間の大地。星の王子さま、のイメージしかなかったが、飛行機が生まれて間もない頃、初期のパイロットがどのような心境で空を飛んでいたか、繊細な描写で読み手の心に入り込んでくる。日本航空パイロットの友人にぜひ読んでもらいたいと思った。
寺田寅彦の軽井沢も良かった。かつての軽井沢の鄙びた趣のある情景が印象に残る。動画では伝えられない、場の空気は、やはり文字でしか伝えられない。
古典には年月を超えて読みつがれてきたわけがある。その理由を発見することが、古典を読み解くことの一つの楽しみになっていると気づいた。
二千年以上前のギリシャの哲人の書いた本が日本語に翻訳された上、無料で読めるのだから、素晴らしい。アマゾンプライムリーディングは、手のひらにある移動図書館だ
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