GW10連休でもうれしくないひとが増えている。会社員だけが優遇されている。
「非正規」ということばを変えるべきだと思います
5月の10連休。だれもがうれしいだろうと思うのはむかしの話。時給で働く人たちは、給料が減ります。
非正規という差別的なことばが世の中でまかり通っているのは、最初にことばを世に広める官庁やメディアが、思考停止して変えようとしないから。
まず変えるべきは、ことばで、ことばが変わると、見え方が変わってきます。
だらしない格好でいるから、だらしなくなるのであって、生まれたときから、だらしない人など、どこにもいません。
毎晩夜更かしをして、昼過ぎまで寝ていた大学生でも、スーツを来て、毎日丸の内に通っていれば、朝九時には出社するエリートサラリーマンになれるのです。本当にそれが向いているかどうかは別として。
はたらきかた改革というのであれば、正規に非ず、などという表現は決して使うべきではありません。はたらきかたが、ちがうだけです。「正規に非ず」などと毎日連呼されていると、はたらく人たちの気持ちが萎えてくると思います。まず使うことばを変えましょう。
なにか事件が起きたとき、「〇〇銀行の派遣社員Aは」と、テレビ局はわざわざ使いますが、正社員が事件を起こしたときに、「〇〇銀行の正社員Bは」とは言いません。
いまや正社員よりも、契約社員や派遣社員のほうが主力である職場も数多くあります。メディアで働く大多数も正社員ではないはずです。近所のスーパーではたらくほとんどの人も正社員ではありません。そこでわざわざ表現に区別を加えることに、メディア側でなにか伝えなければならない意図でもあるのでしょうか。長期雇用者と短期雇用者という呼び方で十分に思います。
政治力があるのに人材派遣業界はなぜ申し入れをしないのでしょうか
先日、五反田の土地を巡る地面師による詐欺事件が起きたとき、各局は女性の被疑者のことを、「元生命保険外交員のA」と表現していました。しかし、ある時期からその表現を使わなくなりました。
これは広告を大量に出稿しているスポンサーの強い意向が働いたから、と想像します。まっとうな放送局の社員が問題に気づき、表現を変えたのであれば、自浄作用が働いているとも言えます。はたしてどうだったのでしょう。
人材派遣業界はメディアで「非正規雇用」などという、差別的なことばの使用を控えるよう、各局に申し出るべきだと思います。
スイカのようなカードを、レジでかざして、ピっと決済ができたときに、こんなに簡単にできるのかと、驚く政治家の姿が、ニュース番組で放送されていました。
PCを使ったことのない大臣がサイバーセキュリティーを担当し、スイカを使ったことのない政治家が電子決済を語る。
はたらきかた改革などと言われても、手抜きをして、そこで使われることばを変えようともせず、これでは選挙目当てのスローガンをぶち上げて、表面的なポーズをとっているだけのように見えてきます。
ことばの使い方を変えることは、ほとんどコストをかけずにできることです。もしも本気ではたらきかた改革を進めるつもりなら、政治家や官僚はことばを再定義した上で、夢ある未来を語ってほしいものです。