住宅の購入で必要なこと

人生でもっとも大きな買い物と言われるマイホーム。住宅購入でどのような備えが必要か、考えてみましょう。

1.住宅は生活の拠点

ライフイベント表を前にすると、自分の過ごしてきた時間を懐かしく思い出すことが出来ます。思い出は住んでいた場所と密接に関わりますので、生活の拠点となる住宅は大切です。

周囲の環境はその家に住む家族、それぞれの人生を形作ります。近くに自然があり、買い物に便利で、交通の便が良く、職場まで近く、学区内に人気の学校があり、治安がよい場所。こんな場所に住めると良いのですが、実際は収入の制限やこどもにかかる教育費、親の介護などの様々な条件により、実現可能な住宅が決まります。

また、住宅は高価な買い物です。購入の機会はたいてい、人生で一度か二度でしょう。購入を考えているのであれば、事前に大切にしたい点を自分の中でよく考えて、書き出しておくことをお勧めします。

いざ物件を前にすると、物件の特徴に気を取られ、自身の大切な条件を忘れがちです。紙に書くことによって、それらの条件をはっきりと認識することが出来ます。

条件が合わなければ、借りて住むのも一つの方法です。購入した時のリスクを考えると、借りて住む気軽さも捨てがたいものです。この点については、事前によく検討することをお薦めします。

 買うことにこだわらない。

2.売れるものを買う

住宅が一般的な買い物と違うのは、高価であることに加えて、資産としての価値を持つ点です。大抵の買い物は、自分が欲しいものを買えばよいのですが、住宅は自分が気に入れば良いというものでもありません。お気に入りのわが家でも、市場が評価してくれなければ、いざというときに家が売れず、借金だけが残ります。

そのためには、購入を希望する物件の欠陥をプロに確認してもらうのも良いでしょう。販売業者が事前の調査を嫌がるようであれば、その物件には何か問題があるのかもしれません。

ほとんどの人は住宅をローンで購入すると思いますが、ローンで買う以上、現金化したい時に売れるかを常に意識することが重要です。

建物の品質以外にも、立地場所の履歴や、時間帯によって変わる周囲の環境なども確認するとよいでしょう。

特にその土地に詳しくない場合には、その土地をよく知る人たちに、そこがどのような場所であったかを聞いてみると良いでしょう。

 土地の歴史ごと買う。

3.ローンを組むなら早めに

ライフイベント表を確認すると、働ける期間がわかります。35年ローンの場合、25才から返済を始めなければ、60才までに完済することは出来ません。

こどものいる家庭であれば、中学進学のころから教育費が増え、大学卒業まで、約十年続きます。

これから迎えるライフイベントにどれくらいの費用がかかるのか、あらかじめ概算金額をつかんでおくべきでしょう。そして、ローンの期間を通算して大きなマイナスが出ないかどうか、試算してみることをお勧めします。

 教育費を確認してからローンを組む。

4.支払総額で考える

ローンの試算をするとすぐに気づきますが、物件の購入価格とローンの支払総額は大きく異なります。販売業者との価格交渉も大切ですが、ローンの金利はより大きな支払総額の差を生み出します。

借りる人それぞれの状況によって、金融機関や金利の条件が異なります。変動金利と固定金利の選択、ローン期間の設定や繰り上げ返済の使い方などは、人それぞれ、考え方によっても異なります。

インターネットで情報が簡単に入手できる時代、だからこそ迷うことも多いかと思います。そんなときには、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談されることをお勧めします。

これから背負うローンの総額を考えてみれば、専門家に支払う謝礼はわずかなものです。物件の見学と同じくらいの熱意を持って、ローンの試算を行うことをお勧めします。

 専門家に相談する。

5.コラム「グローバルなお金の動きで考える」

不動産は投資の対象である以上、世界のお金の流れからも無縁ではありません。特に日本の人口が減り始めている今、外国からの投資の流れを無視することは出来ません。最近は、欧米に限らず急速な経済発展を遂げているアジア各国からの旅行者を、街中でよく見かけるようになりました。

またアジアの投資家が日本の都心部の不動産への投資を集中的に進めています。

かつて、日本人旅行者を世界各地で目にするようになったころ、日本が欧米で活発な不動産投資を行ったことがありました。

いまやアジアの起業家や投資家が日本のリゾートや都心の不動産などに、投資を行う時代へと変わりました。

都心部の不動産価格が高騰しているのは、海外投資家の資金流入によるものです。たとえマイホームの話といえども、海外からの投資資金の影響を無視できる、というものではありません。お金の流れがどの様になっているのか。常に考える必要がありそうです。

住宅ローン

気になるのが金利の行方。銀行預金の金利が上がれば、住宅ローンの金利も上がります。金利上昇を見込んだ住宅ローンの組み立て方を考えてみましょう。

1.住宅ローンの金利タイプと特徴

自動車をローンで買うことに慎重な人も、家を買うとなると人が変わるようです。気に入った良い家を買いたい気持ちは、誰もが一緒です。しかし、無理な住宅ローンを組んで返済できなくなるケースはあとを絶ちません。住宅ローンは家賃ではありません。大きな借金であることを、忘れないようにしましょう。

住宅ローンの返済額は、借入額、金利、返済期間によって決まります。それぞれが小さくなれば返済額は少なくなります。

利息と元金を合わせて月々決まった額を返済するのが元利均等返済。当初は利息の割合が大きく、元金はなかなか減りません。

一方、月々決まった元金に利息を加えた額を返済するのが元金均等返済。元金均等返済は毎月元金とその利息を返済します。返済総額が少なくて済みますが、審査時の収入基準が厳しく、また取り扱っていない金融機関もあります。

元利均等返済でも、返済期間を短くすれば総支払額を少なくすることができます。元金均等返済にこだわり過ぎないようにして、ライフプランにあった住宅ローンを考えましょう。

金利には、固定型、変動型、そして、当初の一定期間の金利が固定される、固定期間選択型があります。

金利の上昇が予想される中で有利なのは長期の固定型です。長期固定型は契約時に変動型よりも金利が高く感じます。しかし、金利の上昇が予想される場合には、契約時の金利に据え置かれるため有利です。現在の金利はいまだに最低水準に近い状態です。いつ上昇し始めるかは、景気の動向に左右されますが、まずは長期の固定型を最優先で考えるべきでしょう。

変動型は契約当初の支払額が少ないため、一見返済しやすいと感じます。しかし、今後金利が上昇した場合にはそれに合わせて返済総額も膨らみます。変動型を選ぶ場合には、金利が上昇した場合でも返済計画に支障がないか検討が必要です。

変動型は長期、または短期のプライムレートに連動します。一般的に5年間は返済額が変わりませんが、半年ごとに元本と利息の割合が変わるものが主流です。今後金利が上がると、月々の返済の、そのほとんどが利息ということにもなりかねません。元本と利息の比率については注意が必要です。

固定期間選択型は固定型と変動型を組み合わせたものです。当初の数年間を固定金利とし、残りの期間を変動金利とします。当初の返済額が少なくて済みますが、金利が上昇してから変動金利になると、返済額の増える危険性があります。変動型と固定型の特徴をよく理解することが大切です。

用語解説 
「プライムレート」
企業などへ銀行が貸し出しを行うときの基準となる金利。
最優遇貸出金利と呼ばれます。
住宅ローンは長期または短期のプライムレートに連動して決まります。
景気が良くなるとプライムレートがあがるため、住宅ローンの金利も上昇する傾向にあります。

2.自分にあったローンを選択する

最近は、民間金融機関の住宅ローンにもさまざまな商品が生まれるようになりました。

支払いの大部分を住宅ローンに頼る人には長期固定金利型がお勧めですが、中には相続や退職金、預貯金、贈与などで十分な頭金が準備できる人もいるでしょう。そんな人には、必要な不足資金にあわせた短期固定型や変動金利型ローンを利用する方法も考えられます。住宅資金の一部を低金利で借り、短期間で返済する計画を立てるのもひとつの方法です。

また銀行別に、さまざまな優遇金利が設定されています。預金額に応じた優遇制度や、特定の期間だけ金利を下げる優遇制度などがあります。

勤務先によっては、社員向け融資制度が整っている場合もあるでしょう。終身雇用制度が崩壊したとはいえ、日本型雇用を守り続けている組織もあります。そのような場所で働く人には、使いやすい制度かもしれません。

 使えるローンは全て確認する。

3.ローンを組むときの心構え

住宅ローンを借りるときには、今後のライフプランをしっかりと考える必要があります。終身雇用制度が崩壊した以上、長期のローンを組むことは、リスクを伴います。家を買えば資産が増えたのはバブル経済のころまでのお話です。よく考えずに家を買うことは避けるべきです。

出来るだけ早く返したい住宅ローンですが、余裕のある計画を立てることが大切です。不動産を購入すると毎年決まった経費がかかります。固定資産税、火災保険料のほか、マンションであれば管理費なども必要です。

今は新しい住宅でも、古くなれば修理が必要です。マンション購入時には修繕計画についても調べましょう。また、一戸建てであれば、自分で直さなければなりません。住宅ローンとは別に資金の準備が必要です。

 住宅にかかる経費を確認する。

4.コラム「一問一答」

Q 住宅ローンを考えるときには、ライフプランを考えることが大切なことがわかりました。どのような点に注意すればよいのでしょう。

A 本当に家を買わなければならないのか、もう一度考えてみましょう。今後人口減少社会を迎え、住宅は供給過剰になります。

子供が社会人になれば、広い家は必要ありません。年老いて住む広すぎる家は、移動と掃除が大変なだけかもしれません。

老後を物価の安い海外で過ごすこともできます。リタイア後に田舎への移住を考えるのであれば、現金で安く家を買うことも出来ます。そんなプランを思い描く人には、リタイアまで賃貸住宅で過ごし、預貯金を増やすということも選択肢の一つです。

子供の有無によって、返済計画も大きく変わります。子供ひとりの成人までの学費は家一軒分と言われます。子供を何人育てるのか、よく考える必要があるでしょう。

また、夫婦共働きの場合には、子供が生まれると奥さんが仕事を続けられなくなることがあります。住宅ローンを組んだために子供を育てられなくなる、というのもおかしなことです。何を優先するのか、事前に夫婦で十分話し合いの時間を持つ必要があります。

住宅購入時のチェックポイント

景気対策の一環としての各種税額控除。控除を利用して住宅購入をする前に注意すべきチェックポイントを確認してみましょう。

1.住宅購入時のチェックポイント

住宅ローンの低金利が続く中、政府の景気対策として、各種税額控除が実施されています。住宅の購入を検討している方には購買意欲の高まる状況が続いています。

これらの税額控除は、児童手当のような、各種手当と異なり、支払った税金の一部が返ってくる仕組みです。給付されるのではなく、控除であることをはっきりと認識しておきましょう。

住宅購入を具体的に検討する時は、税額控除を試算の中に入れて考えるのがよいでしょう。そして、事前に収入と支出のシュミレーションを行うことをお勧めします。

何となく、まとまったお金が戻ってくるな、と考えるのではなく、毎年いくら税金が返ってくるか。それによって、家計にどのように影響があるかを把握しておくべきでしょう。

 払ったものが戻る制度。

2.支出全体で考える

住宅購入という大きなライフイベントを考える場合、全ての支出から見直してみることが大切です。

例えば、交通費。通勤交通費は勤務先から支給されますが、家族にかかる交通費は自己負担です。パートや契約社員の場合には、通勤交通費も自己負担ということも多くなりました。学校、塾、習い事にかかる交通費も、計算してみるとかなりの金額になります。郊外の住宅、駅から遠い場所に住むと、思った以上に費用がかかります。また費用に加えて、家族分の時間が余計に費やされることになります。 

その時間を時給でかけて計算してみてはいかがでしょう。すると、駅近くや町の中心部の高価な住宅のほうが、長い目で見ると安上がりであったということもあるでしょう。資産価値も当然高いので、販売するときも有利です。

家を購入すると、住んでいる限りかかるのが交通費です。駅から遠い安価な住宅が本当にお得な買い物なのか、よく検討してみるべきかもしれません。

教育費も同様です。子ども一人当たり、家一軒分の費用がかかると言われています。評判のよい整備された公立学校が地域にあれば、安心して進学させることができます。しかし、私立学校への進学を考える状況にあれば、そのための資金が必要になります。このようなこともライフプランを考えながら、家の購入時にはあらかじめ考えておく必要があります。

また住宅購入後、主婦がパートに出る場合、パート先が近くにあることも重要です。職場まで歩く場合と、電車やバスを乗り継ぐ場合では、同じ収入でも、負担が大きく異なります。短時間で様々な家事をこなさなければならない主婦であれば、歩いて通える距離に勤務先があるかどうかは、とても大切です。

夫婦ともにフルタイムで働く場合、育児施設が近くにあるか、も重要です。保育にかかる費用が収入とそれほど変わらないということもあるようです。子どもを預ける場所がないために、仕事が続けられず、住宅購入をあきらめたという話も時々耳にします。

 税額控除は住宅購入時にはとても重要な点です。しかし、控除について検討する前に、基本的な物件の持つ価値、そこに住むことによって掛かる費用について、十分な検証が必要です。たとえ控除が受けられたとしても、自分にとって価値のない物件を選択したのでは意味がありません。

自身のライフプランを考えて、条件に合う物件が見つかった時に、初めて控除のことを考えても遅くはありません。

 利便性をコストに置き換えてみる。

3.コラム「各種控除」

住宅改修時の控除には、状況に応じて様々なものが用意されています。最も一般的なのが、新築住宅をローンで購入する場合に利用できる住宅借入金等特別控除です。一般的に住宅ローン控除と呼ばれています。中古住宅でも、一定の用件を満たす場合には、対象となります。

利用するためにはいくつかの条件があります。細かな条件が重なりますので、実際に検討する場合には、必ず各自の状況に合わせて詳細な内容まで確認してください。

新たに家を購入するのではなく、家を大きくしたい、間取りを変更したい、といった場合には増改築に対する控除。

昨今のエネルギー事情に合わせて、家の改修工事を行いたいという場合には、省エネ改修工事のための控除といったものもあります。また、高齢者向けのバリアフリー改修工事の控除。耐震改修工事のための控除などさまざまです。これらの税額控除を利用するためには、様々な条件が必要となります。利用する場合には、専門家に意見を聞くことをお勧めします。

買うか借りるか

 

1.損得だけでは割り切れない家

家の購入は、多くの人にとって、一つの夢です。これは金銭的な損得だけでは割り切れない、大きなライフイベントです。

結婚して、子供が生まれ、家族が出来ると、家を持つことの重みが一層増します。仕事をする上で、家を持つことが張り合いになり、また子供達の成長の過程が刻まれる思い出の宝箱にもなっていきます。

一方、忘れてならないのが、不動産という商品の特徴です。人は物を買う時に、買った物の価値について、常に考えているわけではありません。必要だから買い、欲しいから買います。しかし、不動産の場合、常に意識の何処かで、その価値を確認し続ける必要があります。

家を買う場合、通常は住宅ローンを組んで購入します。不動産価格が上昇し続ける状況であれば、現在価値について、それほど意識する必要はないかも知れません。しかし、物件価格が上がったり、下がったりする場合は、常に価格について気を配る必要があります。

バブル経済が崩壊するまでの間、日本の不動産価格は上昇を続けました。しかし、バブル経済崩壊後、不動産価格は低迷し、買えば必ず値の上がる時代は終わりを迎えました。

その後、リーマンショックを経て、再び都市部の不動産価格が上昇しています。しかし、この状況もいつか終わります。景気は循環し、不動産価格は上昇と下降を繰り返すものなのです。

家を購入する場合、その不動産がすぐに売れる商品かどうかは、非常に大きな意味を持ちます。それが価値ある物件であり、また割安な時期に購入することができれば、高く売ることが出来るかもしれません。

 現在価値を常に意識する。

2.借りるより買う方が難しい

経済的な視点で考えれば、買っても借りても、どちらが得で、どちらが損、ということは、言えません。

購入する、ということは、所有者としてのリスクが発生する一方で、所有することによる利益も発生するからです。

現実的には、家を購入する方が、家を借りるよりも難しいということがあります。どちらも審査はありますが、長期の住宅ローンに対する信用調査の方が、家主による入居審査よりも、より厳しいからです。

つまり、自身が購入するつもりでも、いざ手続きを始めてみると、購入出来ないという場合が多々発生します。

 購入できないリスクも知っておく

3.借りて住む時のライフプラン

家を借りて住む場合に注意しなければならないのは、老後の資金計画です。購入する場合には、ある時点でローンの支払いが完了します。しかし、借りて住む場合、家賃の支払いに終わりはありません。

住宅をローンで購入すると、必ず生命保険に加入します。従って、一家の大黒柱に万一のことがあっても、ローンを返済したうえで、家は持ち家として残ります。

しかし、賃貸住宅に住み続ける場合は、老後の住居費を確実に積み立てる必要があります。また、家族がいる場合には、生命保険などに加入して、万一の場合でも生活できるように、保障や貯蓄の準備を進める必要があります。

 家族のための保障を忘れずに。

4.老後に買う

場所さえ選ばなければ、田舎の家やリゾート物件などを、安く現金で買うことは可能です。

定年までは、仕事の都合に合わせて、好きな場所へ移り住む。老後は場所を決めて自然豊かなリゾート地に家を現金で購入する。こんな方法も選択出来るかもしれません。

気をつけなければならないのが、途中で方針が変わった場合。ある程度の年齢までにローンを組まないと、返済期間が短すぎて、家をローンで購入することが出来なくなります。また、高齢者になると、家を借りにくくなるという現実的な問題もあるようです。

借りて住むことを選んだ場合には、貯蓄に励み、定年前後に現金で家を買うということを、ライフプランの中に組み入れるのがよいかも知れません。

 現金でも買うことはできる。

5.コラム「火災保険」

火災保険にはさまざまな特約があり、特約のつけ方によって補償範囲は様々です。

住宅ローンを契約した場合には、ローンの期間に合わせた契約期間にすることが大切です。長期契約は保険料の割引率が高く保険料を節約できます。一方で、一年契約にすると、更新時に補償内容が悪化していたということも考えられます。

商品の変更により内容が良くなる場合は、入りなおして、旧契約を解約すれば対応できますが、内容が悪くなる場合には、悪い内容でも更新するしか方法がありません。

補償内容は契約のパターンによって決まります。

家の立地場所は、川の近く、海の近く、崖のそば、幹線道路沿いなど様々です。火災保険契約時には、わが家のリスクを確認し、どのようなケースで補償の対象になるのか。事前に確認しておくとよいでしょう。